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基礎編2. 対流2.2 強制対流熱伝達(1)水平平板
このトレーニングで学ぶこと
電子機器の中では、部品が実装されたプリント基板(下図)などのように、板状の発熱体の上を空気が流れることにより発熱部品を冷却しています。
空気や水などの流体がファンやポンプにより強制的に駆動されて流動している場合、物体表面から流体への熱伝達を強制対流熱伝達といいます。
このような平板強制対流熱伝達の場合、
・平板の長さの違いにより冷却効果が異なるのでしょうか?
・空気の流れ方向に対する位置の違いにより冷却効果が異なるのでしょうか?
考えてみましょう。
- 問題1初級
- 温度20℃、風速2m/sの流れの中に、厚さ5mmで一辺の長さLが(a)50mm, (b)100mm, (c)200mm の正方形の銅板が、それぞれ単位体積あたり200000W/m3で一様に発熱しています。
(a), (b), (c)の銅板のうち最も温度が低くなるのはどれでしょうか?
※平板の端面は断熱の条件を仮定します。
平板表面の単位面積当たりの放熱量は
どれも同じだよ!
- 答1
- 答えは (a)です。
FlowDesignerで検証
計算結果をみると、一辺の長さが短いほど温度が低くなっていることが分かります。
また、すべてのパターンで平板温度の上昇に伴って平板周囲の空気温度が高くなっていますが、この部分を温度境界層と言います。
対流熱伝達では温度境界層の厚さが薄いほど熱が伝わりやすく、固体壁の温度は低くなります。このときの単位面積、単位温度差当たりの熱の伝わりやすさを対流熱伝達率と言います。
温度の高低を考えるときには、温度境界層をイメージして、その厚さがどのように変化するかを考える必要があります。
FlowDesignerで得られた結果と実験式(日本機械学会「伝熱工学資料」改訂第5版 pp.27-30)で得られた結果で、平板温度が良好に一致していることが分かります。